ストレージが鉄道の駅になる? -NetApp Private Storage for AWS-

お久しぶりです。NetApp の田中です。

NetApp Private Storage for AWS というソリューションをキーに5月から7月で3つのイベント

(Cloud Computing Expo, AWS Summit Tokyo, Softbank World) の出展を終えました。

SAP 環境の検証及び出展に御協力いただいた株式会社クニエの広木様、櫻井様、佐々木様、

10Gbit 対応の高性能 L3 Switch である Nexus 3064 を貸出いただいたシスコシステムズ

合同会社の中本様、ありがとうございました。

写真は Softbank World の会場でブースの紹介をしている私が写っています。結構カチカチ

に固まってました。お姉さんたちの笑顔はさすがだと思います。

5月のイベント出展後から 1Gbps 接続で SAP 環境の機能検証を開始し、7月には 10Gbps の

接続環境を Nexus 3064 で用意して性能検証を実施しました。性能結果は Softbank World での

広木様講演資料に含まれていますので、ぜひダウンロードしてください。Amazon EC2 インスタンス

を12台用いて 931MByte/sec の Read 性能を確認できましたので、このソリューションには

10Gbps の AWS Direct Connect が必要、という思いを強くしました。

「Softbank World 2013 セッション資料ダウンロード」

https://softbanktelecom.smartmarketing.jp/public/seminar/view/187

セッションタイトルハイブリッド・クラウドは新たな時代へ 今までの常識を覆すダイレクト

コネクトを利用したAWSとNetAppの 連携ソリューション」

また、イベント出展対応を進めていく中で、クニエ様とは共同のニュースリリースを

出すことができました。今後は共同でお客様にソリューションを採用いただけるように

活動していくつもりです。

「ネットアップとクニエ、NetApp Private Storage for AWSを日本で提供開始」

http://www.netapp.com/jp/company/news/press-releases/news-rel-20130723-208663-ja.aspx

さて、話を少し変えます。

3つのイベントを経て、私なりに考えた事がありますのでこの場を借りてまとめさせて

いただきます。ある種根源的な疑問に対する私なりの答えです。

・このソリューションは一体何なのか?

・このソリューションが目指す世界は何なのか?

という疑問です。実際問題として、3度の出展で私自身がこの疑問を持ち続けながら

説明していたこともありまして、私なりに決着をつけたかったということなのですが。。。

考えた結果、次のような結論に辿り着きました。1つの表現方法としてご理解いただければ

幸いです。

Q: NetApp Private Storage for AWS とは一体何なのか?

A: オンプレミスクラウドと AWS 社のクラウドを繋ぐ「鉄道」を作ること

Q: NetApp Private Storage for AWS が目指す世界は何なのか?

A: 様々なクラウド間を繋ぐ「鉄道網」を作ること

というものです。

この世界観では鉄道を使って移動するのは人やモノではなく、データです。

  • 鉄道の駅:NetApp ストレージ
  • 鉄道の線路:回線(専用線 or インターネット VPN)
  • 鉄道で運ばれるもの:データ
  • 駅併設の商業施設:クラウド(オンプレミスとパブリックの両方を含む)

ストレージを「データを保管する倉庫」として考えるのではなく、

「データ転送用のインフラ(を構成する駅)」として再定義するほうが、このソリューションの

姿を説明/理解しやすいのではないか、ということにふと気付きました。

きっかけは株式会社クニエの広木様がイベントでの講演で、クラウドに大容量データを運ぶ

もっとよい方法がないのか、ということを繰り返しお話しされていたことです。鉄道の駅は

人やモノが集まり、列車で運ばれます。ストレージを設置してデータを転送することにピタリ

あてはまるなと思いました。鉄道網の件は東京の地下鉄路線図を見て、これだとひらめきました。

鉄道をイメージする上では、NetApp ストレージの SnapMirror 機能が根幹になります。

SnapMirror を用いれば、データのフル転送は最初だけ、あとは変更差分だけの転送で済みます。

しかも転送を継続しながら複製を作ってデータを一時利用することや、転送を一旦停止して

データを反対方向に転送させることも可能です。これだけ高機能な鉄道インフラは、人やモノを

運ぶ現実の鉄道には存在しないと思います。

NetApp Private Storage for AWS が現時点で想定しているのは、オンプレミスの自社クラウドと

AWS 様のクラウドに NetApp ストレージの駅を設置し、双方向にデータを転送することです。

しかし、AWS Direct Connect に似た仕組みを提供する様々なクラウドプレイヤーにストレージの

駅を設置してしまえば、あとは回線で繋ぐだけで全ての駅が網のように繋がってしまいます

元々 NetApp ストレージを利用しているパブリッククラウド環境も複数ありますから、その場合は

既に駅が設置済みと考えればよいでしょう。

その結果としてどういう未来が訪れるのか、少々 SF的に 書かせていただきます。

クラウドで生成されたデータは、クラウドのサービスで処理されて形を変え、必要に応じて

別のクラウドに転送されて、更に形を変えていきます。ユーザーは特定のクラウドに縛られる

必要はなく、鉄道網を使って自在にデータを移動し、そのクラウドが得意とするサービスを

使って必要な処理を行えばよいのです。このような未来において、NetApp ストレージはデータ

転送を支えるインフラとして機能します。

いかがでしょうか。そういう世界観をストレージ技術で提供できる未来を自らの頭の片隅に

置きつつ、引き続き活動して参ります。今後にご期待ください。

最後に、NetApp Private Storage for AWS の FAQ をまとめます。イベント会場へご来場

いただいた皆様からは、次のような質問をいただきました。ブログ読者の多くのかたが

同じようなご質問をお持ちと思いますので、この場を借りてご紹介します。

Q1: NetApp のストレージを Amazon Web Services 社がサービスとして提供するのですか?

A1: データ転送用の NetApp ストレージについてはお客様に所有いただきます。このため、

AWS 様および Equinix 様がお客様所有のストレージを勝手に操作する事はありません。

Private Storage と表現している理由でもありますが、セキュリティも高度に担保されます。

Q2: AWS 社 の Amazon S3 と NetApp ストレージは競合ではないのか?

A2: Amazon S3 はオブジェクトストレージであり、NetApp FAS/V シリーズ は CIFS/iSCSI/NFS

での接続形態となるため、データを保管するストレージとしての用途が異なります。また、この

ソリューションでの NetApp FAS/V シリーズはデータ転送インフラとしての役割も担います。

そのため両者は共存できるストレージソリューションだと認識しています。

Q3: AWS 社は Equinix 社にクラウド環境を置いているのでしょうか?

A3: AWS 様側の事情は弊社では分かりかねますが、AWS Direct Connect を行うには、

Equinix 様の IBX TY2 内でお客様のルーターと AWS 様側の機材を構内配線で繋ぐ必要があります。

このため AWS 様側の機材が Equinix 様の DC に一部設置されているものと思われます。

Q4: AWS 社認定コロケーション施設の Equinix 社 IBX TY2 の最寄り駅を教えてください。

A4: 申し訳ありませんが弊社ではお答えできかねますので Equinix 様にお問い合わせください。

首都圏なのは間違いないです。

Q5: 必ず Equinix 社 IBX TY2 にストレージを設置しなければいけないのでしょうか?

A5: IBX TY2 には AWS Direct Connect 用のルーター(もしくは L3 スイッチ)をお客様に

設置いただく必要があります。NetApp ストレージはそのルーターにできるだけ直結して

いただくほうがレイテンシーの観点から望ましいのですが、ストレージを IBX TY2 に設置

しなければいけないわけではありません。ストレージを IBX TY2 以外のデータセンターに

設置する場合は、IBX TY2 内に設置した AWS Direct Connect 用のルーターとストレージの

間を専用線等を介して繋げてください。

Q6: AWS Direct Connect のネットワークレイテンシーは?

A6: 東京リージョンで動作する Amazon EC2 インスタンスと IBX TY2 に設置したルーター

に直結したストレージとの間で 3ミリ秒 でした。異なる Availability Zone の Amazon EC2

インスタンスを用いても 3ミリ秒でした。ルーターを複数経由したデータセンター間での

通信のレイテンシーとしては、高速な部類と認識しています。

Q7: 10Gbps の AWS Direct Connect 接続は意味があるのか? 1Gbps で十分では?

A7: 1つの Amazon EC2 インスタンスで 10Gbps を使い切ることは難しいのですが、複数の

Amazon EC2 インスタンスを用いて同時にデータ転送を行う場合、1Gbps では帯域不足に

陥る可能性があります。NetApp Private Storage for AWS を利用する場合には 10Gbps の

AWS Direct Connect の利用をお勧めします。

ネットアップ株式会社

田中雄一郎